ガンのリスクはアミノレブリン酸の検査で評価できる?

尿中に含まれるがん細胞由来代謝物と酸化物質を調べると、がんのリスクに対する評価をすることができると考えられています。
この時に使われる5-アミノレブリン酸(ALA)とは、どのような物質なのでしょう。

アミノレブリン酸とは?
アミノレブリン酸(ALA)は、動植物など全ての細胞にとって必要な天然のアミノ酸です。
細胞においてエネルギーの産生や血液中の酸素運搬を担う生体分子を構成する成分となり、生きて行く上での根元物質と言われます。

アミノレブリン酸の変化によってがんのリスクがわかる?
正常組織においてのアミノレブリン酸は、ヘムという生命を維持するために必要な生体分子の材料になります。
しかしがん細胞でのアミノレブリン酸は、ヘムを作ることが出来ずなくなって代謝機能異常が起こり不要な代謝物を蓄積させます。この代謝物が増えると、尿中に多く排泄されるようになります。
そのため尿中のアミノレブリン酸の量を測定することで、がんのリスクを評価することが可能だと考えられています。
例えば脳腫瘍のがん存在部位の特定などで臨床応用されている物質です。

アミノレブリン酸でがんリスクを評価する目的
尿中に含まれるアミノレブリン酸を測定することは、がんのリスクを統計的に評価することに繋がるでしょう。
ただし画像診断や血液検査等に代わって行うというよりも、それらの検査を補完する目的や検査が必要かどうかを確認する目的などで行うといったほうが適しています。

がんと診断確定できるものではない理由とは?
その理由として、がんの部位や、がん組織の血流状態などによって、がん組織から放出される物質の測定には影響が及ぶ可能性があることが挙げられます。
そのため尿中のアミノレブリン酸の数値を測定した結果が基準値以下であっても必ずがんのリスクが低いとも言えませんし、基準値以上でもがんと診断できるわけではありません。
統計データと検査結果の比較でどのくらいのリスクがあるかを評価するもので、がんの診断として使われるものではないことも理解しておく必要があります。

がんのリスクを知る目安として活用を
アミノレブリン酸による検査でがんかどうかを確定することはできませんが、がんのリスクを知るための目安にはなります。
ただし検査の結果によって基準値の範囲内である場合でも不安や疑問がある場合には、やはり医療機関に相談してみることが必要です。
あくまでも現在は目安として判断するもので、診断を確定するものではないことを理解しておきましょう。
今後さらにアミノレブリン酸ががんに対する検査や治療に役立てられることが期待されると考えられるでしょう。

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