がん治療の副作用の負担はアミノレブリン酸で解決できる?

日本人の最大の死因は「がん」によるもので、現在では2人に1人が罹患するとまで言われている疾患です。
日本だけでなく、他の先進国でも死因の上位に挙げられる疾患ですので有効的な治療法の開発が注目されています。
しかしがんとは人の細胞が変異して起きるため、副作用を全く伴わない治療の開発は簡単ではありません。
そのためがんを患う人にとっては、心身への負担が大きく、生活の質を向上していける治療法はまだ開発されていません。

現在のがん治療とは?
がんの治療方法は外科的治療、化学療法、放射線治療の3つがメインになっています。他にも温熱療法などがありますが、これはがん細胞が熱に弱いという特徴を利用して増殖を抑えるというものです。副作用が極めて少ないという面でも注目されつつあります。
しかし温熱療法は、治療が可能になるがんの部位が広範囲に及ぶ場合、もしくは深い位置にがんが存在する場合には加温での負担が増すことが問題です。
温熱療法だけでの治療効果も薄いため、化学療法や放射線療法を補助する役割として利用されており、副作用が少ないというせっかくのメリットがうまく活用できていないようです。

温熱療法の有効性を増強できる可能性がある?
温熱療法の有効性をさらに増すことができれば、がん治療も副作用に苦しむことがなくなるでしょう。近年では温熱療法の増強剤として5-アミノレブリン酸が注目されています。
5-アミノレブリン酸とは、生物に存在する天然アミノ酸です。生命の根源物質とも言えることから、色々な分野に応用できないかと現在注目を集めています。

5-アミノレブリン酸を投与した場合
5-アミノレブリン酸は、外的投与で動物や植物の呼吸や光合成活性を高めることがわかっていますので、既に栄養サプリメントや植物の肥料としても実用化されています。
5-アミノレブリン酸は細胞質での代謝経路を経てミトコンドリアに移行します。そして段階的な酵素反応後、プロトポルフィリンⅨという物質へ代謝されます。

がんのある部位の識別が可能になる?
5-アミノレブリン酸を大量投与しても、正常な細胞であればさらに2価鉄が配位されることでヘムへと変換されることになりますが、がん細胞の場合はヘムに変換されることなくプロトポルフィリンⅨのまま蓄積されてしまいます。
プロトポルフィリンⅨは特定波長の励起光によって蛍光を発するため、がん組織の部位を識別することが可能です。

がん細胞をうまく死滅させることも可能?
さらにプロトポルフィリンⅨは、光励起で活性酸素種を発生させますので、プロトポルフィリンⅨが溜まったがんへと励起光を照射すればがん細胞を死滅させるという治療法も開発されています。
照射できるがんの部位は限定されることにはなりますが、5-アミノレブリン酸は天然アミノ酸ですので副作用もほとんどありませんのでがん治療の副作用での心身への負担は軽減できると考えられます。

いずれはがんが死因1位でなくなる可能性に期待
既に5-アミノレブリン酸を活用することで、数種のがん細胞は温熱下で死滅することを増強できると考えられています。
今後有意な温熱療法として臨床応用していけることで、現在日本人の死因1位であるがんの順位を下げることも期待できるかもしれません。

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