老後資金に必要なのは3,000万円?本当にその額で足りる?

生命保険文化センターが実施した平成28年度の「生活保障に関する調査」では、夫婦2人が老後生活を送る際に必要とされる最低日常生活費は月平均22.0万円、さらにゆとりのある老後生活を送るための費用は月平均34.9万円となっています。
しかし実際に老後を迎えた時に、この金額を年金だけで賄えるかどうか疑問です。そのため自助努力により老後の備えを検討する人は増えていますが、実際に老後のために自分で何らかの準備をしている人は64.8%でした。

老後資金は既に行われている?
同じく生命保険文化センターが実施した「老後保障に対する私的準備状況」についての調査結果を見た場合、老後資金の準備をしているという人の割合は64.8%で、男性の場合は30~60歳代で6割超、女性は50~60歳代で7割超という状況です。
さらに老後資金の準備方法として、預貯金を利用している割合が45.2%と最も高く、個人年金保険や変額個人年金保険、生命保険を利用している人も44.0%と高い割合です。
老後資金の準備は比較的リスクの少ない方法で、確実にお金を保管できる方法が多く活用されていると言えるでしょう。

3,000万円あれば老後は安泰?
多くの人が既に何らかの手段で老後資金を貯めているようですが、実際に65歳の時点で3,000万円老後に準備できたとして、どのように使っていくことになるでしょう。
マイホームの修繕費や大きな病気にかかってしまった時の備えとして、1,000万円は別にしておき、残りの2,000万円を使っていくことを考えて見ます。
現在日本は長寿社会ですので、90歳まで生きるとして65歳から25年という期間をこの2,000万円と年金で生活することになるでしょう。
しかし2,000万円を25年間で使うとなると、毎月66,000円しか使えないことになります。

毎月66,000円と年金で生活ができるか
自助努力によって貯めたお金から毎月使うことができるのは66,000円、そして受給できる年金額がいくらかプラスされることになります。
しかし将来インフレで物価が上昇するなども踏まえて考えた場合、ゆとりのある老後の生活費どころか、最低日常生活費としても不十分のようにも感じるでしょう。

生産年齢が見直されれば必要な老後資金も減ることに
原則65歳まで継続雇用することを企業に義務づけた「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、定年退職後も継続雇用という形で働き続ける人は多くいます。
さらに生産年齢の見直しなどで、今後老後は60歳や65歳ではなく70歳以降になることも予想されるでしょう。
リタイア年齢が高くなることは老後期間が短縮され、準備する必要のある老後資金も減ることになります。

お金を置いておくだけで安心できるか検討を
しかしいつまで働き続けることができるのかはわかりませんし、受取ることができる年金の額や受給開始年齢なども今後どうなるかはわかりません。
一般的に老後資金は3,000万円必要だと言われることが多いですが、はたしてその額で足りるのか、貯蓄だけでお金を保管しておくことが老後の備えとして望ましいかを今一度検討していく必要があるのかもしれません。

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