老後のお金を準備する必要は本当にある?年金だけでは不安?

平成28年に金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」では、20代~70歳以上の老後の生活費や貯蓄に関しての平均額についての回答が公表されています。
このアンケート調査の結果によると、老後の1か月当たりの最低予想生活費は27万円で、年金支給が開始された時に最低準備しておくべき貯蓄は2,016万円と考えられているようです。
また、厚生労働省が発表している平成29年度の夫婦2人モデル世帯の年金額の金額は、1か月当たり221,227円になっています。平成28年度よりも227円減少していることからもわかるように、実際は年金の受給だけで最低生活費を賄うことは厳しいでしょう。


大きな落とし穴になるのは物価の上昇
さらに老後の生活費を考える時には、大きな落とし穴となる可能性がある「物価上昇」についても考えていく必要があります。
実際に自分が老後を迎えるのは何年後かを考えてみましょう。その時点で物価はどのような状況でしょうか。

現在と将来のお金の価値は同じではない可能性が高い
例えば現在30歳が老後の年金受給が開始される65歳になるまでの期間は30年間です。
例えば現在毎月25万円給料を受取っていて満足できる生活を送っていたとしても、65歳になった時に同じ25万円で送る生活は現在よりも水準が下がる可能性があります。
物やサービスの値段は値上りしていくことが想定されます。昔は100円で購入できたものが現在は120円、130円と値上がりしているものも多くあるでしょう。
それと同じで今25万円で買うことができるものでも、将来は同じ金額では購入できない可能性があります。

物価上昇に伴って年金受給額が増えるわけではない
政府と日本銀行は経済政策の一環として、毎年物価を2%ずつ上昇させることを目標にしています。今後物価が上がれば老後に必要なお金も必然的に増えることになるでしょう。
現在年金制度には「マクロ経済スライド」が導入されています。この仕組みは仮に物価が2%ずつ上昇しても、年金は上昇率に対して0.9%差し引いた1.1%しか上げない仕組みになっています。

毎年物価が2%ずつ上昇したら…?
本当に政府の取り組み通りに物価が例えば30年間に渡り毎年2%ずつ上昇したとしましょう。
現在100万円で購入できるものは、単純に計算しても60%高くなり160万円支払わなければ買えなくなります。
それなのに老後受給する年金は、30年後「1.1%×30年間=33%」分しか増えません。
現在の100万円は133万円になりますので、購入にかかる160万円と年金から受取る133万円では明らかに差額が生じることになります。

物価上昇へのリスクに対する備えが必要
なお、2017年度の年金額は物価が下がったことの影響を受け、マクロ経済スライドでの調整は行われていませんが、物価変動分マイナス0.1%の減額になっています。
今後の物価上昇へのリスクと、今後求める生活水準、そして受取ることができる年金のバランスを考えていくことが必要でしょう。
家計の収支バランスを見直しながら金融商品などを上手く活用し、老後資金の備えを検討しましょう。

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